□  まけられない価格                          平成14年5月27日



 価格を下げて受注に結びつけ、顧客を確保し、シェアの維持をはかるのは一番楽な方向である。価格を‘まけない’営業展開をすることによって、つくりだすものの附加価値が浮き彫りになってくる。

 「私達の大事な患者様へ・ご利用者様へ、質の高い医療・看護・介護の提供に努めます」。私たちの会社が一年中何らかのかたちで修繕、リフォーム工事を担当している病院のパンフレットだ。老人施設も併設で、地域医療の一端を担っている。病院の概要も簡単な施設の模型の写真入りと医療サービス内容が、イラスト入りでお年寄りにも分かりやすい言葉でやさしく書かれ、先生手作りのガイドだそうだ。患者も安心できる。医療技術の高い先生を迎えて充実した病院経営を行っている。病院側が患者さんに対して何を提供できるか、きちんと情報を公開して附加価値を高めて、患者のニーズにこたえている。

 近くのかかりつけ医の先生も特色がある。医院全体も綺麗で待合室も清潔感があって良いが、先生も優しく気軽にどんなことでも相談にのってくれ人気が高い。薬の出し方がいい。診察が終わって手渡される薬袋の中の薬は、何種類かあっても1つ1つまとめられ薬の説明が丁寧に書かれたメモが入っている。患者が手渡されて家に持ち帰り、薬が何のために効果があるのか、副作用はどんなことがあるのか、こと細かく書いてある。ただ単に風邪薬を飲んでるのと大きな違いだ。

 医療報酬は価格が一定の点数制だ。価格が決められている中にあって、患者をつなぎとめ人気が出るのには、医療技術は勿論だが、患者の知りたいことを丁寧に答える、患者の目線に立った対応が大きな附加価値へとつながっていく。価格を‘まける’営業は楽な営業である。建設業、出精値引、原価割れの話は沢山聞く。附加価値を与えるサービス、ものつくりへと転換をはからなければならない。



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