□  5月30日                           平成14年5月31日



 5月30日、われわれ建設業界ではゴミゼロの日と呼んでいる。昨日、県下一斉で道路クリーン作戦を展開した。社会資本整備に携わる業界が、社会に貢献できるかたちとしてスタートして、今年で15年目になる。地元でも公園での出発式に参加してきた。作業員の人が沢山でて、のぼりを立てたトラックに分乗して、ゴミ、空き缶など集めて回収し、かなりの量になった。最近は環境問題が注目されている。当初の評価とは違った角度、大地をきれいにする、自然をきれいにすると評価も高くなっている。

 30数年前、今ほど環境問題について言及されていない時に、自分の大学の研究室の教授が、身近な行動で私たちに環境問題について教えてくれた事が記憶に鮮明だ。アフリカのタンザニアの国際会議場の設計コンペで、夜遅くまで図面を書いたり、模型を作っている自分たちに対して休憩をすすめて、何日おきかに目白の田中屋のケーキと紅茶を出してくれた。ケーキの白い箱をかかえて研究室に持って来てくれるのだが、いつも同じ白い箱。食べ終わると白い箱を丁寧に保存し、又田中屋に持っていってケーキを買って私たちに出してねぎらってくれた。今考えると衛生上の難点はあるかも知れない、小さな事だが、ゴミを少なくしようという先生の強い意志に感心させられた。

 外資系のファーストフードの店。丁度30数年前の同じ頃、目白や銀座にあちこちにオープンした。驚かされたのがプラスチック製のフォークや紙コップ、皿。すべて使い捨て。戦後生まれで物のない時代を経てきた自分にとって、かなりのカルチャーショックであったことは間違いがない。安い価格で容器が作られるようになったからできるのだが、清潔で都合はいい。しかし1回きりの使用で使い捨てはもったいないという感覚はぬぐい切れない。このあたりから、ゴミ、環境問題がクローズアップされてきたといわれても言い過ぎでない気がする。

 ゴミゼロの日が終わって、道端の空き缶などはかなりの量回収され、新緑の中、綺麗になった気がする。大量消費、大量生産の時が終わり、物を大切にし、いかに環境にやさしくするかが問われている。30年以上も前に身近なことから教えられたことを実践することが大切だ。

  



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