□  すまん・ごめん・俺がわるい                     平成14年6月11日



  ‘すまん・ごめん・俺がわるい’。先日結婚式で自分の隣の席に座った、東京のお寺の若い住職さんの締めの一言。披露宴の間も礼儀正しく立派な人だと思っていたが、めりはりの効いた一言と、こきみの良い3・3・7拍子の締めの音頭に、出席者皆どよめき、感心させられた。

 新郎は小さい時から知っていて、自分が建築の設計についての話をするうちに建築計画を学ぼうと決めたらしい。自分の大学の研究室の仲間が新郎の大学で設計の講師をしていた事もあってか、大学時代は図面のスケッチを見せて、こんなかたちが良いとかどうだとか、何辺か相談にのることもあった。卒業設計もかなり頑張り、自分たちのグループで企画し、卒業設計展もリーダーとして開催した。今は建築の設計とは離れてしまったが、つねに建築の設計でつちかってきた‘ものつくりの原点’を忘れることなく、職人芸の延長としての‘ものつくり’に励んでいる。

 企業の組織の中で問題点をつねに他人に、他の要因の所為におきかえてしまう社員が多い。住宅が売れないからと言って、価格が高いからだ。チラシをうってもなかなか顧客が見つからないのもチラシのデザインが悪いからだ。工事が遅れてきたのも協力会社が力がないからだ。発注者の担当者からなかなか結論もらえないからうまく進まない。果ては天候のせいになってしまう。確かに要因としてはそれぞれ問題がある。売り方が、早めの段取りが、予測した手配が…自分の責任で処理できてなかったことも忘れてならない。

 ‘すまん・ごめん・俺がわるい’。新しい人生を送る人への心に残る言葉、相手が悪くても自分のせいで、という気配りが大事ということだが、もう少し進んで、会社組織の中において、自分の責任で常に行動する人間には確実に次の展開がひらかれるし、自分の失敗もすぐに見つけ、糧にするしたたかさが必要だ。

  

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