□  橋の開通式                                 平成14年7月22日



 ‘公共事業’に対する風当たりはまさに逆風で、かなり強いものがある。公共事業という言葉自体も使いにくい状況、社会資本整備といえばかなり分かり易い。景気の刺激策としての公共事業の果たす役割は終わったと言ってしまえばそれまでだが、景気が坂道を転がり落ちるように下っていく中で、アクセルをいっぱいに踏みながら落ち込んでいくような状況が今の状況なのかも知れない。公共事業、社会資本整備は、まだまだ確実に必要だ。

 橋高31mの開通式に行ってきた。神事のあとの親子3代礼服を着ての渡り初めも、神主さんを先頭に行われた。先日の台風6号の後の河川が眼下に見下ろせ、まわりは緑がいっぱいだ。眼下のくねくねした狭い道路を今まで走っていたわけだが、橋の上から見下ろす景色は一変した。渡り初めの前のテント周辺には、橋の完成を喜んでかなりの数の地域住民の人たちも参加している。事業計画から着手、完成までに約12年の月日が経った分だけ、笑顔はひとしおの感が伝わってくる。鉄道は勿論のこと、高速道、国道、県道もない、自分の住んでいる地域の中でアクセスの本当にしにくい地域が、この橋のおかげで高速道路のある台地からは5〜6分で直結したのである。

 りんご、ぶどう、さくらんぼ、ブルーベリーと、喜んでいる人たちの地域は‘自立した農業’を営んでいる。工夫した、考えられた農業を展開しているのが直に伝わってくる。自分も毎年さくらんぼを買いに行ったり、ぶどうを買いに行ったりするが、予約をしなければ間に合わないぐらいの盛況だ。毎年味は向上して美味しくなっているし、知り合いの人に届けると驚くほど喜ばれる。‘自立した農業’のあり方が問われている中で、典型的なモデル地域なのかもしれない。

 永い間かかって‘自立した農業’を工夫してつくり上げてきた生産農家の地域。今まで本当に分かりづらく、アクセスしにくかった地域に、‘公共事業’のおかげで橋がかかり、状況は一変した。さくらんぼは終わったがこれからぶどう、りんごの生産、出荷に磨きがかかる。祝賀会で私に話しかけてきた生産農家の人たちの喜んだ笑顔は本物だ。

   

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