□  脱請負                                    平成14年7月29日



 金は出すけど口は出さない。出来上がったものを信頼して受け取る。途中のプロセスはお任せ。そんな請負制度も転換期にきているのかも知れない。請負から管理型の発注システムが加速され、2004年までには工事の30%が管理型システムになるといわれている。透明性のもとに、国民も発注者もプロセスの中身を知りたがっている。

 ‘コンストラクションマネージメント’方式、PM/CM方式がかなりのウェイトで採用されだした。93年6月からの入札制度改革の一連の流れの中で、中建審の建議、建設産業政策大綱などで、CM制度については外注の適正化の枠組みの中で常に論議され続けてきた。さかのぼると、明治33年質を問わずに金額の競争で指名競争制度が導入され、関東大震災の大正中頃から「量の拡大」の中で中身を論議しない請負制度が確立したのである。PM/CM方式のパターンは多様だが、建設投資そのものが縮小し、ますますコストの透明性、VE、無償のサービスの有償化、効率化、発注プロセスの透明性、海外請負などPM/CMのニーズは高まりつつある。

 ‘脱請負’。建設業界もいろんな業態で取り組んでいる事例が全国で浮き彫りになりつつある。大手の建設会社ではそれまで培ってきた業務用ソフトをセットでレンタルし、中小建設会社へターゲットを絞り技術支援のきめ細かいビジネスチャンスとして生かす動きもある。中堅会社でも海洋深層水の取水の専用船を造ったり、えびの室内養殖に取り組んで販売支援、稚えびの供給にまで取り組み、シフトの転換を図っている。その他風力発電、スーパー銭湯のモデル化、牧羊を始めた会社など挙げればきりがない。建設投資が落ち込む中での他分野までも含めた‘脱請負’、生き残り戦略だ。

 ややもすると、PM/CM方式がコストカッティングの方式と誤解される傾向がある。金は出すけど口は出さない丹那的発注方式の転換。ものをつくりあげるプロセス、透明になった分だけきちんとしたCOSTプラスFEEの概念は定着し、正しい建設コストの在り方が国民に見えてくるのかも知れない。‘脱請負’、正面から見据えるPM/CM方式もあれば、他分野への模索の方法もある。



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