□  液晶テレビ                                               平成14年12月24日



 もたもたしていると世の中の「変化」に付いて行けなくなってしまう。小さな身近な事でも知らず知らずのうちに取り残されてしまった気分になる。もともとニュース番組を見る位でテレビをじっくり見る習慣がないから自分の家のテレビは14インチの小型テレビ。テレビの画面映りは正常だったのに永年使ってきたせいかリモコンのスイッチが壊れて、on―offは勿論チャンネルの切り替えも出来ない。何年か振りにテレビを買い換えた。いろいろあれこれ考えても収まる場所を変えようがないから結局、同じ大きさ、14インチのテレビになった。

 奥行きも5.7センチ、ほんとに薄い液晶テレビ。テレビを買おうと決めた時から気になり出したのは電器店の店先。驚いたのは液晶画面か、横から見ても綺麗な映像のプラズマテレビがもう主流という事。ブラウン管が大きく後ろまで出ているテレビは影が薄い。テレビがあるだけで感激したり、カラーテレビ、リモコンスイッチのテレビが登場して感心していたのはほんとにずーっと前の話。今では薄型液晶・プラズマテレビ。取り残されていた感じは拭えない。そういえば中学生の時の東京オリンピック。授業を早めに打ち切って家でテレビを観戦する事になって「テレビのない家」という事で元気よく手を挙げ廻りを見渡したら自分一人だったときの感覚までもが甦って来た。

 いつの間にかテレビも薄型液晶・プラズマテレビが主流。値段が下がれば間違いなくプラズマテレビ。旅行に出かければ今では殆どの人が小さなデジカメ。カメラに目を近づけて撮っている人など少なくなりつつある。営業マンでポケットベルを身につけている人は見かけない、携帯電話が主流、メールチェックから目が離せない。そして写真が撮れる携帯を誰もが持つようになっていく。パソコンが社内に2,3台持ち込まれたのは数年前。あっという間に全社員の机の上に並んでいる、パソコンがなければ現場の業務は仕上がらない、取り残されていく。古い型の重宝だったワープロは部屋の隅に追いやられているし、殆ど製造されてもいない。

液晶テレビの薄さとフォルムに感動、透過型TN液晶パネルの画質も素晴らしい。スピーカーの音質も小さくても前のテレビと比べたら格段の差。それでもそんなことを考えて喜んでいたのも数日間だけ。今では新しくなった液晶テレビも「当たり前」の存在になってきた。取り残された感覚を除けば、「変化」の感動は意外に短い、「変化」とはこんなものかも知れない。「当たり前」の感覚が消えていかない、そしてまた新しいテレビの「変化」に取り残されていくことになる。

                                          (青柳 剛)



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