□  酒との付き合い方                                           平成15年4月3日


 工事の始まりも「酒との付き合い方」から始まる。神様が降りてくる「降神の儀」、「四方の祓い」、「祝詞奏上」、「玉串奉奠」、そして神様がまた工事関係者の間から帰っていく「昇神の儀」で終わる建設工事の安全祈願、地鎮祭。工事現場で土地の神様と海の幸、山の幸を囲んで酒を飲み宴を催して祈願するのが地鎮祭。上棟式も同じこと、工事が完成した落成式にも酒がなければ終わらない。人生の出発、結婚式、三々九度の杯を取り交わす「酒との付き合い方」から始まる。日常生活でのハレの場面にいつも酒はなくてはならない。日本文化のありようを考える上で酒との関わりは見過ごせない。そして酒は人間にとって「百薬の長」、それでも飲まれてはいけない「両刃の剣」、飲み方、「酒との付き合い方」は難しい。

 「水毒症」。酒に飲まれて二日酔いとはアルコールの飲みすぎもあるが水分の摂りすぎによる「水毒症」のこと。ビールの9割は水だし、日本酒ワインでも80パーセント以上が水分。ビールで二日酔いの辛さは体験した人にしか分からない。アルコールを大量に飲むことは水分をたくさん摂り過ぎること、飲みすぎると下痢になったり、頻尿、そして嘔吐したりするのもすべて余分な水分を体内から排泄しようとする自浄作用。二日酔いの薬は基本的には体内からの水分排泄のための利尿剤。酒に強い体質は水分の代謝がうまくいっている人。どうしても酒を飲まなければならない日々が続くならばしっかり有酸素運動、利尿と発汗を繰り返した後の飲酒、なかなか悪酔いしないし、じっくり飲んでも大丈夫という事になる。

 「アルコール度数」。酒の量だけでなく「アルコール度数」も考えながら飲まなければならない。それでもじっくり一人で飲むんだったら自分はタンカリーのジンロックに決めている。レモンを少し滴らしただけのジンロックはさっぱりした味、勿論「アルコール度数」が強い分何杯も飲めない。手軽なトロピカルな乾いた感じがいい。「アルコール度数」の高い、強い酒は、胃粘膜を傷つける、水やお湯、ウーロン茶などで割って濃度を下げて飲むのが基本。勘違いしてならないのは40度の焼酎をコップ半分、残り半分お湯を足しても20度の「アルコール度数」にはならないと言う事。詳しい計算式は別にしてお湯を足せば40度より薄まるのは確かでも倍に薄めて、30何度かの「アルコール度数」にしかならないことはあまり知られていない。

 「酒との付き合い方」、上手に飲めば「百薬の長」。100杯のお茶より3杯の酒。お茶を飲みながら100回会うのとたったの3回酒を酌み交わすだけで培われる人間関係と同じくらいの効果があるとの例え。不祥事で世の中を賑わしてきたのも3杯の酒の延長線。酒で失敗した人の例は身近でも新聞紙上でも数え切れない。ワインは善玉コレストロールを増やしていく、焼酎は血栓を溶かす成分をつくるのに役立つ、醸造酒の日本酒はがん予防に効果がある、確かに効能をあげればきりがない。そんな中でも手軽な現実逃避、ストレス解消ができることが一番の効能。現実はあまりにも深刻な経済情勢、イラク戦争、暗い3面記事分かって居る筈でもつい酒の量が増えていく。「酒は百薬の長」いつの間にか飲みすぎ、「酒は諸悪の基」。強いお酒を薄めて飲むのが身体に優しい飲み方と分かっていてもなかなか強いタンカリーのジンロックの飲み方も止められない。

                                          (青柳 剛)


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