□  PM/CMの潮流                                             平成15年4月8日


 人に決めてもらうのは嫌がる産業が建設産業。殆どの企業がオーナー経営者、産業構造を抜本的に変えるなんてなかなか出来そうもないし、ましてや再編統合に簡単に踏み切れない。5月「産業再生機構」が立ち上がる前に市場が先取りとなって機能した巨額の自己資本増資などで生き残り策を展開したのは銀行業界。そんななかで建設市場が急激に冷え込み需要と供給のバランスが極端に崩れだしたのがここ数年の建設業界、踏み切れなかった再編統合淘汰が始まっている。生き残りをかけた苦しみ、供給力の圧縮が始まった。JIA (日本建築家協会)連続セミナー「建築界の新しい風、―広がる活動領域―」-PM/CMの潮流―での行政サイドの基調講演。行政側から供給過剰の状態を是正していくとはかなり踏み込んだ基調挨拶だった。

 「PM/CMの潮流」は請負から管理型の建設生産システム、新しいビジネスモデル、確実に定着拡大しつつある。もともと戦後復興とともに手厚い庇護の中で育ってきた産業が建設産業、変わりにくい体質からは脱け出せない。一言で言えば待ちの姿勢、古い体質の建設市場が形成され続けてきた。顧客ニーズの多様化、社会全体の価値観の変化、責任の所在と説明責任の明確化、プロジェクトコストプロセスの透明化、国際化など建設産業に対する新たな要請はますます増大している。業界全体の意識改革、そして変革を確かめる時期に来ている。いかに今までのシステムから脱却した柔軟な発想視点を展開できるかが問われている。産業構造を抜本的に変え、直接サービス市場に直結したかたちとしての建設生産システム、「人」の産業である事を改めて問い直し、PM/CMは従来型と異なった建設生産システムとして社会的に認知されつつある。

 設計業界も含めて建設産業につきものだった重層構造、複雑な元下請け関係が透明性、責任の所在を不明確なものにする。元下請け関係を直接的に結びつき眼に見えたかたちにすることにより、表と裏の関係発注者責任の明確化もすっきりしてくる。土木技術系の職員が一人も在籍していない市町村が全体の30パーセント近く、建築にいたっては一人もいない市町村は全体の60パーセント近くに達した中で発注業務が執り行われているのが現実。重層構造の解消と公共事業アウトソーシングとしての発注支援業務、発注すれば後はおまかせ、プロセスに口をださなかった従来の請負制度から脱却するPM/CM業務は建設投資の20パーセント近くまで占める分野とまで言われている。

 昨年の12月「地方公共団体のCM方式活用マニュアル試案」、「CM方式導入促進方策調査報告書」が出されJIAでも「PMガイドライン」、「CMガイドライン」が整備された。もともとPM・CM方式は米国から1970年代に始まった建設生産システム。日本は受発注に絡む不信感とスキャンダル防止から始まった。建設市場が極端に縮退すれば広まるのは価格だけの競争によるシェアの確保。工期、品質、技術提案、VE提案、価格、プロセスの透明性そして発注者支援業務と一体になった日本型PM/CM業務は建設産業界の新たな潮流となって確立されていく。

                                          (青柳 剛)


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