この一週間のニュース、ななめ読み                                    平成17年1月17日


 「ななめ読み」とは、本来さあっと読み流す事、正面から向き合わずに別の角度から見てみる事も違った意味の「ななめ読み」。一週間経てばいろんなニュースが入ってくる。日曜日の久しぶりに面白い試合となった早稲田大―関東学院大のラグビー大学選手権決勝戦から始まって、静かになったのか荒れたのか騒いだのが沖縄と北海道だけだったもう止せば良いかなって気にもなってくる成人式、新潟の地震被災地に追い討ちをかける辛い大雪情報、30万人の犠牲者になりそうな被害がますます広がるスマトラ地震津波災害、ノロウイルス、コンプライアンス精神に欠けていた企業の不祥事、iPodのシャッフルが「バカ売れ」ネットでさえ二週間待ち・・・。こんなところがこの一週間の主なニュース。そんな中「気になるニュース」もななめに構えて、別の見方をして見ると見えないものが見えてくる。

 「青色発光ダイオードのニュース」は分かりやすいから、すぐ身近で話題になる。一億評論家がすぐ生まれる。200億円の一審判決も驚いたが今回の結末は金利を含めた8億円余りの東京高裁での和解解決。「発明の対価の評価とか」、「アメリカと日本の違いだとか」、「一人で発明したわけではないとか」、「企業の得た利益は計り知れないとか」・・・・・、こういった正面から向き合った議論はマスコミのいろんなコメントに任せるとして、気になったのが和解解決なのに不満だという事。不満なら和解に応じなければ良い。科学者側からの対抗訴訟だといっても一度はテーブルに載った司法制度をいくら批判しても始まらない。そのうえ感情的なコメントが出てくるとがっかりする。どんな時でも冷静沈着に積み上げながら歩んでいくのが世界に誇る科学者と勝手に思い描いて期待していたのはきっと自分ばかりではない。声の裏返った世界的科学者の姿は誰も見たくない。

 「NHKの報道番組の政治介入のニュース」も「なんでいまさら」と言う感覚だけが拭いきれないで残ってしまう。正面からの議論なら「報道の自由なあり方」と「公正な報道」。「言った、言わない」のお互いの水掛け論を聞いていても答えは出てこないしおそらく最後まで闇の中。それよりも3年も前の話が今出てくる事に違和感が出てくるし、眼が向いていく。コンプライアンス精神はもちろん今の時代にしっかり求められる事。内部告発も表に出てきたという事は異例といえば異例の出来事。ななめに構えて見ているとやっぱり最初に感じた違和感は拭えない。そう、告発の狙いが別のところにあるから違和感が引きずられる。きっと、話題のトップの力が落ちてきたから「なんでいまさら」の場面になって表に出てきたと思われてもしょうがない。

 「気になるニュース」もななめに構えて、別の見方をして見ると見えないものが見えてくる。素直に正面から向き合えなかった「気になるニュース」ふたつ、もっと言えばマスコミのその後の扱い方も偏るから余計におかしくなる。「青色発光ダイオードのニュース」は世界的な発明をした科学者中心の報道だし、「NHKの報道番組の政治介入のニュース」も番組担当者ばかりに焦点が絞られていく。バランスの取れた情報の質と量が流されないでいつの間にか終わってしまう事が繰り返されるからおかしくなる。「ななめに読み」、いつも「疑ってかかれば」見えないものが見えてくる。だから、「朝日、毎日」、「産経」、「日経」、「読売」と夕刊「ゲンダイ」まで読み較べる事を止められない。

                                          (青柳 剛)

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