□ 歯はいのち                                                  平成19年8月14日


 病院には滅多に行かないが、歯医者には2週間に1回は必ず行く。特別なことがない限り、1回が待ち時間も含めて長くても30分だからあまり負担にはならない。審美歯科といえば、お洒落な感じがするが歯のチェックに行くのである。最近の歯科医院の案内特集を見ていると○○デンタルクリニックとか、○○デンタルオフィスとか、○○インプラントセンターとか、ネーミングもいつの間にか大きく変わってきた。○○歯科医院というネーミングはどんどん影が薄くなりつつあるし、新しくオープンする歯科医院のネーミングはすべてお洒落な横文字に変わってしまった。歯の大敵の煙草を吸う人も少なくなったし、甘いものを年中食べて虫歯になって歯が痛くてどうしようもなくなってから通いだすのが歯医者という感覚は薄れてきた。

 元々歯がおそらく丈夫でなかったこともあるが、甘いものが好きであまり歯のことに気を使わなかったから20代で歯はガタガタになった。虫歯になって放って置けば必ず悪くなる、時間が経って良くなるなんてことはない。早めにいい歯医者に行って治療することが大切だ。あちこちどうしようもなくなって医者の弟に紹介された歯医者に救われた。山手線の恵比寿の駅前にあった同世代の歯医者は当時でも最新鋭の設備と技術を備えた歯医者だった。徹底的に直すつもりで週に一度の割で1年近く通って、歯は見違えるように良くなった。1回の治療時間も長く、治療費も今思えばかなりの高額だったが、その後の30年間近くに亘って殆ど故障もなく、歯医者とは無縁の生活を過ごすことが出来たのはあの恵比寿の歯医者のおかげだったような気がする。

 それでもさすがにこの2−3年は、直した歯の故障が出てきた。もう、わざわざ恵比寿の歯医者まで出かけるわけには行かない、そんなに時間もない。当たり前のことだが歯は削ってしまえば小さくなるだけ、抜いてしまえばもう生えてこない。この歳になると出来るだけ穏やかな治療、大袈裟にならない治療、いかに今の歯の状態をそのままにして治療が出来るかどうかにかかっている。出来れば最新鋭の技術を持っていて、そのうえ、こちらの気持ちが分かる同い年ぐらいの歯医者のほうがいい、そうは言ってもなかなか丁度いい歯医者も身近に見つからない。診療時間も自由が利き、若くて新しい設備が整っている歯医者に通いだした。30年前に丁寧に直した歯を上手に残しながら新しい技術で治療していく、あとはケアをきちんとやっていけばそれだけ長持ちする。

 2週間に1回の歯のケアも習慣になってきた。歯に対する気の使いようは、ついおろそかになる。おろそかにならないために通う。歯垢と歯茎をチェックし、消毒したあとに手と機械でブラッシングをしてもらった後は気持ちがいい。歯の感触がいい。「歯間ブラシも良く使われていて、私が診ている人の中でも上手な歯磨きナンバーワンのグループに入りますよう〜!」なんて言われていつも気を良くしている。次に来る時は、もっと気を使っていようと思うから歯のケアは万全になる。歯の状態によって年寄り顔になるとかそうでないとか顔の形から始まって、頭痛、冷え性、手足のしびれ、全身のだるさ、アトピー、腰痛、肩こり、首・背中の痛み、イライラ、欝、顎関節症、頻尿などなど、身体全体に与えるいろんな影響を書いた今年の1月に発行された「歯はいのち」(笠茂亨久著 文芸春秋社刊)を読めばもっと歯に気を使う思いは強くなる。

                                          (青柳 剛)

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