□消費税集中点検会合                                                     平成25年10月16日


 8月29日・「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」に出席してきた。地方・地域経済の分野である。出席要請の電話があったのは8月初旬、「消費税の会合」と聞いて一瞬躊躇ったが、「建設業協会の活動状況と普段発言されていることで良いですから」と言われて引き受けることにした。電話を切った後、「どのようにまとめようか、具体的に分かりやすくなければならない、時間もそんなにない」と当日のストーリーを組み立てる作業が始まった。建築デザインで鍛えられた構成力はこういう時に役に立つ。この日に決めたのは当日の説明資料は散漫にならないようにワンペーパーに絞り込むこと、もうひとつはデータに基づいた提言が基本、消費税に対する地方建設業界の生の意見を吸い上げるための調査をすることだった。

 協会事務局と一緒になってアンケート調査の原案作りに取り掛かった。ここのところはいつも少人数の手作り作業、動きは早い。「消費税に対するダイレクトな質問」と「景況感」の2点に絞った調査票にした。盆休みを挟んでの取りまとめは時間との闘い、全12支部を通じて346社にアンケートを依頼する準備がたちまちのうちに出来上がった。あとは現状の経済政策を自分自身でおさらいすること、学びこむことが大切になる。資料収集の他に参考になりそうな本を買ってきた。「アベノミクス」超入門(永濱利廣著)から始まり竹中平蔵の「ニッポン再起動」・本田悦郎の「アベノミクスの真実」・藤井聡の「日本強靭化構想」、政策に批判的な論調を言い続けている浜矩子の「アベノミクスの真相」などなど。

 休み明けにアンケート調査もまとまりだした。326社回答の高回答率であり、景気の変動に対する関心は高い。消費増税に対する賛否は企業数では「賛成」が43%、明確に「反対」が44%となり、「賛成ではないがやむを得ない」の社を含めると結果として「賛成」の数が上回る。自由意見では54%の人が「賛成」の意見を具体的に述べている。完工高30億円以上の企業の約8割が「賛成」、規模の小さな企業になればなるほど「反対」の割合が高い。これは急激な変化に対する中小企業の脆弱性と不安感の表れであり、景気回復にはまだまだ厳しい状況が続いているということになる。

 調査結果に加えて、この1年間の建設業協会の提言と活動を要約してペーパーに張り込んだ。震災後1年の「災害応急対策能力調査」、「技術者構成の調査」と今年7月に発表した「設計労務単価に関する調査」などであり、この1年の動きがわかる内容にした。消費税に対する結論は、会員の意見も聞き、総論として4点にまとめて官邸での会合に臨んだ。「真に必要な事業を選別しながら、中長期的な公共事業量の確保を目指すために消費増税賛成」であり、敢えて、景気対策には言及をしなかった。それよりも財政赤字の埋め合わせを公共事業者に押し付けられてきた政策から脱却する意義は大きい。10月1日、安倍総理は17年ぶりに来年4月、消費税を上げることを表明した。消費増税に正面から向き合った点検会合だったが、今後の業界活動のかたちが少しずつ見えだしてきた。(文中敬称略)(建設通信新聞10月8日)


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