□  技術は工期だ                              平成14年6月20日



 東京駅の近くの建築工事中の‘Eビルディング’。来年の2月竣工。30階建、総延床面積111.000u。先日躯体が立ち上がったばかりだが、残りわずか9ヶ月の工期で竣工する予定で順調に進捗している。特筆すべきは24時間体制で現場は進んでいる。

 VE(ヴァリューエンジニア)提案。最近はかなりの工事で官民問わず導入されるようになって来た。V(価値)=F/C、が基本理念。Cはコスト、Fはファンクションである。コストを下げれば自ら価値は上がる。本来の意味は、価値を大事にしながらコストを下げる手法の筈が、最近は単なるコストカッティングにとって変わられている。VEの手法は竣工段階になるとあまり効果を発揮しない。設計時、それも初期の段階でVEを模索することによって効果は絶大になる。世界一の高さを誇るクアラルンプールシティーセンターの、50m離れた2棟あるセンターの建築を、設計初期に配置を変えた計画にすることによって数十億のVEが出来たことは有名な話だ。

 施工時のコスト評価。工期は短くなればなるほど、建築のオーナーにとって魅力は絶大だ。テナントビルの建替時には入居者に別のビルの一時入居のためのコストがかかり、早く仕上ることによってそれだけ賃料収入は早期に入ってくる。ホテル、旅館、マンションなども短い工期のおかげでその分だけ建物の稼動は早まり、投下資本回収の期間は早まってくる。要は見積り、入札時の価格を工期とのバランスを考えた上で、依頼する建築会社を決定することが出来る。結果短い工期を技術提案できる企業が、見積り価格が他社より高くても落札となる。

 単なる‘価格競争’だけでない、多様な入札方式がいろいろな角度で模索されている。欧米の総合評価方式への取組みも注目されだした。公共土木工事においても、複雑に考えなくても、例えば道路工事が早く仕上れば環境負荷の低減、経済効果などのコストにおきかえる尺度を用いることが出来る。丸の内の‘Eビルディング’。24時間体制で施工体制に入れる企業の技術力が評価されたのである。

  


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