□  大型タワーマンション                                  平成14年7月3日



 住宅市場縮退が進んでいる中で、都心の大型タワーマンションの売行きが好調だ。ここ30年間のマンション需要動向の変化は、社会の仕組みそのものと密接に連動しているのかも知れない。時代・変化が大きく動いている中で、過去の事例を追いかけても答えは見つからない。

 床面積100uぐらいのマンションが人気がある。結露に悩まされたサッシュ、ガラスは、今ではペアガラス(複層)が標準。浴室に入るのに廊下と段差は殆どゼロ。二重床は当たり前で、上下階の遮音性能もしっかり数値化されてさえぎられている。住宅の性能そのものが上がって、要は30代の人たちの1次取得の対象仮住まいであったマンションが、永住指向、客層の変化、それにつれてマンションの商品規格の工夫が求められているのである。全戸南向きが原則であったマンションも、タワーマンションでは西向き、東向き、果ては北向きの住戸でも需要は途絶えることはない。

 社会情勢の変化、ライフスタイルの変化はマンション顧客の需要を変えていく。情報化社会が成熟していく中で、生活スタイルも確実に変化する。都心では不規則でかつ自由な生活を楽しむ、SOHO(Small Office Home Office)形態の拡大、業務時間の24時間化、これらのワークスタイルを支えるサービス産業が増大しつつある。SOHO実践者の転移希望立地の調査資料(住都公団「SOHOの今後の動向について」(1998))でも、「更に都心」希望者は約40%を占めている。今までのホワイトカラー層の郊外住宅地指向とはかなり格差があり、営業機会の獲得目的、生活場所としての都心指向が強まっているのである。北向きのタワーマンションでも構わない。人との交流、情報の集積を求めて、オフィスとしても機能する住宅が求められている。

 小さな事務所で高度な仕事。サービス産業の比率が大きくなっている。公認会計士の需要は益々高まるし、弁護士も2倍になってきた。大型タワーマンションの需要は1時代前のファミリー向けのマンションからターゲットが移動したのである。

 

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