□  社長室なんかいらない                               平成14年7月25日



 小さな会社でも社長室がある。社長室での執務は打合せ、応接、電話、決済・書類整理とパソコン、メールチェック、もの書き…こんな事かも知れない。もっと頻度をこまめに上げたオープンな会議室、執務室に転換した方が有益なスペースの使い方のような気がしている。

 人のリストラを考えると、良い人材からいなくなってしまう。自分の働く場と地位を確保できる有能な人材は、どこに行っても活躍できる能力を持っている。人のリストラを考える前に、全社の施設が最小の投資、最小の施設運営費で最も効率よく機能するように考えることが大切だ。厳しい時代には無駄なぜい肉を落とす為のコストダウン、コストミニマムの考えから手を付けなければならない。

 遊休地をどう活用したら良いかなんていっている企業は今では殆んどいないし、スピードと変化の波についていけてない。日本のオフィスの執務室面積と会議室・役員室・応接室など個室との割合は約50%の比率。欧米と比較してかなり執務室の面積の割合が低い。全社員分の執務机どころか社員の半分しか机を置いていない企業も現れている。自分の座席の位置は明確に決まっていない‘フリーアドレス制’の執務空間、出勤したら思い思いのスペースに自分のワゴンを持ち寄って執務する。‘ホテリング方式’は、各セクションごとにホテルに申込むスタイルでスペースを確保してオフィスのミニマム化を図っている。

 無駄な施設のコストは、できるだけ小さくしなければならない。例えばIT化の進んだ今、企業の財務を担当する総務部署は都心にある必要はないのかも知れないし、コンピューターセンターも本社と併設ではなくもっと安い地価、賃料の遠隔地のほうが効率は良い。オフィスのテナント料を考えれば、分散化されてたものを出来るだけ小さくまとめれば経営の負担は軽くなる。

 今後当面企業にとって人員の増員は望めそうにない。自然減でいなくなった人の机でもいつまでもおいてある企業体質が日本の企業。常に最小の施設で効率よく経営をしていく手法、「FM」「ファシリティマネジメント」の必要性が求められている。経営者は90p×120pの机とパソコンがあればいいし、社内と外部をたえず動きまわって、社内の情報を最大限とりこめる能力、透明性、共有感が大切だ。経営者の背中を見ながら社員はモチベーションを高めながら働いてくれる……‘社長室なんかいらない’…みんなで働く小さなオフィスで十分だ。



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