□  超回復                                       平成14年10月18日



 僧帽筋ががっしりと張り切っているし、カーフもぎしぎししている。老親の面倒を、すぐ上の姉が見に来てくれたおかげで体育の日を挟んでの連休、3日間しっかりと身体を動かした。朝50分から90分早足で歩き、次に50分のエアロバイク、1時間30分の筋力トレーニング。巨人の星の肉体改造マシーンを背負っているような全身の筋肉痛。「超回復」は必ず72時間後に訪れるし、若い時はその日のうちに筋肉痛となっていたのが今では、24時間後にしっかり筋肉痛となってでてくる。

 筋肉は断裂を繰り返す事によって大きくなる。筋力を高めるためには筋繊維の肥大が大切な要因となる。筋繊維の肥大は筋断面積の肥大につながり、最大筋力も向上する。ベンチプレス、ダンベル、スクワットでもあまり負荷のかからない重さで何回繰り返しても筋肉痛はやってこない。筋肉痛にならない訳だから筋繊維は破壊と生成を繰り返さない。いつまで経っても筋力はつかない事になる。かといって無理な負荷をかけ、正しい姿勢を取れないトレーニングでは逆に身体を傷めてしまう危険性がある。

 トレーニング中は正しい呼吸法が求められる。バーベルを降しながら大きく息を吸い、挙げきった時に吐き出すのがベンチプレスの時の呼吸の基本。スクワットではしゃがむ時に息を吸い、立ち上がった時に吐き出す。重い負荷の時には、息を止めた無酸素運動になりがち。息を止めた無酸素運動では折角のトレーニングの筈が翌日には激しい頭痛を伴なったり、果ては、スポーツ選手に多い「痛風」予備軍、高尿酸値になってしまう。筋肉疲労の原因は乳酸蓄積。回復のためには酸素によって筋肉への血液の流れを促し、蓄積した乳酸を洗い流さなければならない。

 ‘超回復’は原則どうりに72時間後にやってくる。トレーニングを始めたばかりの時は、激しく毎日トレーニングに熱中する。「休むことは悪である」は一昔前の考え方。回復のための休息は充分に取らなければならない。しばらく休んでいて、急に持ち上がらなかったバーベルの重さが楽に持ち上がることがある。これが‘超回復’である。筋繊維がたまった乳酸を取り除きながら回復生成作業に入っている最中に再び筋繊維断裂ではたまらない。ウォーミングアップとクールダウンのストレッチは当たり前。休息をすることによってトレーニングする前の状況よりも高まったところまで体力が回復する時期が‘超回復’期であり、この時期を狙って再び負荷をかければ必ず‘赤い筋肉’はつくられていく。


                                                        (青柳 剛)



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