□ 自民党政策セミナー                                                               平成21年3月23日


 「行ってみないか」という声がかかったから、素直に出席してみることに決めた。先日行われた自民党政策セミナーのことである。まじめに政策を聞いてみれば、実になることは多い。時間があれば、人の話を聞くことは参考になる。話題になりそうなところだけを取るマスコミ報道に惑わされていると、そこから先は見えなくなってしまう。この百年に一度という不景気なときにどういった政策を政権与党が真剣に考えているのか直接眼で見て、聞いてみれば納得できるものはきっとある。事前に渡されたスケジュールを見てみると、かなりハードスケジュールだ。休み時間も5分ぐらいしかない。1泊2日、最初の日が午後1時から始まって夕方6時過ぎまで、翌日は朝の9時からの開講だ。年度末、何かと慌しいが、久しぶりにみっちり話を聞いてみようかと思って出かけてきたのである。

 東京駅で軽くラーメンを食べて会場についてみると、もう、会場は満員だった。自民党の総裁選を行うあの会場だ。椅子が狭い、このまま「じーっ」と座って聞いていると終わった時には身体が固まってしまいそうな狭さだった。それでも座ったのは前から3番目、ここなら臨場感と共に話も良く聞こえる。折角の時間を無駄にしたくないいい席だ。配られた資料に目を通すと、すべての講義内容に亘ってパワーポイントの資料が作られている。「ザーッ」と見ただけでも、このセミナーにかける自民党の政策担当者の意気込みが伝わってくる。これは真剣に聞けば、かなりの知識になる、何を政権政党が考えて政策を立てているかも見えてくる。選挙のときは「ただお願いします」の連呼かせいぜい政見放送だけで終わってしまうからまずい、うわべだけの選択に流れてしまう、国民は実現できそうな政策の中身をいつも検証しながら行動する必要がありそうだ。

 細田博之幹事長の挨拶と初めての試みを企画した坂本剛二組織本部長の挨拶から始まった。司会は最初の日が丸川珠代参議院議員、2日目が猪口邦子衆議院議員だった。プログラムは、「75兆円の経済対策」−園田博之政務調査会長代理、「定額給付金」−森山裕総務部会長、「平成21年度予算・税制改正及び消費税を含む税制抜本改革」−柳沢伯夫税制調査会小委員長、「社会保障制度」−衛藤晟一社会保障制度調査会長代理、「緊急雇用対策」−長勢甚遠雇用・生活調査会長、「公務員制度改革」−公務員制度改革委員会委員長代理、「道路財源の一般財源化と高速料金の引き下げ」−福井照国土交通部会長、「日教組問題」−山谷えり子女性局長、「国会における野党の無法な対応、民主党主張の矛盾批判」−大島理森国会対策委員長と、話の中身はかなり濃いもので2日間が終わった。何らかの政治にかかわっている人には、きっと浸み込むように吸収できる話題ばかりだった。

 選挙のときに配られる政党ごとのマニフェストなんか、有権者はろくに見ない。候補者も地域事情ばかりを訴えるからもっと話はおかしくなる。演説がうまくて、顔が見られて握手が出来たことだけで選ぶことを有権者は繰り返してきた。国のあり方がどういう方向に向かっているかなどという議論は見えなくなっている。そのうえ、マスコミは、対立の構図とスキャンダルを煽り立てていく。オバマ大統領に負けないぐらいの75兆円の経済対策、税制の話はかなり難しいが避けては通れない、平均寿命が72歳だったときの社会保障制度から変わっていかなければならない、極め付きは日本だけがいつの間にかゆとり教育で世界から取り残されそうになっている・・・・、真剣に聞いてみればどれをとっても聞き逃すことが出来ない内容ばかりだった。毎朝、朝の7時か8時、それぞれの議員が政策の勉強会を積み重ね続けてきた結果である。1泊2日の政策セミナー、直接聞いてみれば、政策の中身と問題点がきちんと見えてくる。(青柳 剛)

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