□ 小太りと1600キロカロリー                                                 平成25年5月29日


 運動をするだけでは、身体を引き締めることは出来るが、体重のコントロールまですることは出来ない。それどころか筋肉量が増える分、体重も増えていく。身体を使った運動といえば、平成9年の暮れも押し迫った頃から始めて、もう15年近くも経つ。最初は身体がついていくだけで精いっぱい、頭痛がするほどきつかったが、身体はすぐに慣れ、熱中すれば週3〜4回、そうでなくても週末は必ず運動することを続けてきた。主にフリーウエイトの筋トレとウオーキングにエアロバイク、気が向けばプールなどの有酸素運動も組み合わせて身体を動かしてきた。最初の2,3年は確かに集中した分体重も減っていたが、その後は「運動をしているから大丈夫!」という気の緩みもあったのだろう、綺麗な右肩上がりの直線で増え続けてきた。長い時は3時間も運動を続けているのに体重が増えていく、「何で?」と思っても、答えは簡単、カロリー摂取と消費のバランスが取れないから体重が増え続けるのである。消費した後の食事こそ美味い、運動をして健康になった身体、求めるエネルギーが上回り続けてきたということだ。

 それでもこの歳になって、体重が増え続ければ、身体のどこかにきしみが出てくる。ここ数年、絵に描いたような症状に悩まされ続けてきた。尿酸値の上昇とそれまで低かった血圧まで上がりだした。尿酸値は、無酸素運動を繰り返せば、すぐにでも跳ね上がる。血圧も140台のことが多い、さすがにこの症状は何とかしなければ思っていたら、かかりつけ医のほかに東京の大学病院の教授と地元の大学の教授の2人の内科医の先生を紹介してもらってそれぞれ月に一度ずつ診て貰うことになった。これならば安心、それぞれの診立てを較べることが出来そう、自己管理もし易い。内科でも、どういった分野が専門なのかよく分からないが、地元の先生は糖尿病の専門家らしい。「太り過ぎ、体重を落とせば数値はみんな良くなる、特に最低血圧は下がりだす」とのアドバイスをしたのは地元の先生、「1日の摂取量は1600kcalが基準、塩分は6グラム」という。東京の先生も「無理をしないでゆっくりダイエット、歳を取ったら小太りぐらいがちょうどいい」と少し違うが、体重を減らすことの診立ては一致した。

 食事量を調整するのに問題なのは外食、この辺を学習しなければ、1600kcalなんかあっという間にオーバーしてしまう。家で朝昼晩の食事なら調整は簡単に出来そうだ。早速買ってきたのは、「外食カロリーガイド」(女子栄養大学出版部)。外食のカロリーが分からなければスタート出来ない。読んでみると、好きなとんかつは完全にアウト、殆んどそれだけで1000kcalも行ってしまう。コンビニのサンドイッチも高い、おにぎりならばひとつで170kcalだから調整がきく。あれこれ読みながら学習したが、毎回会議で出される弁当のカロリーが問題、自分で選べない、一品一品カロリーを足していけばすぐにオーバーしてしまう。「ご飯を半分残して、揚げ物には手を付けない」、こうすれば弁当の高カロリーを解決することが出来る。朝飯は決まってバナナにヨーグルトとプルーンにシリアル、夕飯の前には好きな野菜を山盛り食べてからメインの食事、後はゆっくり食べること、途中で何度も箸をおくことを心がけながら、2人の先生の言う通りのダイエットに挑戦してきた。

 食事管理を始めだして3か月半、塩分も6グラムを守ってきた。運動はジムよりもウオーキングかゆっくりとしたジョギング1時間強、2か月ぐらい殆んど毎日続いている。体重は綺麗に右肩下がりに減りだした。7〜8キロ減っただろうか、1か月2キロ弱、いいペースだ。尿酸値は5以下、血圧も120を超えることはなくなった。先生の言うように数値は一気に改善した。痩せだすと身体のあちこちに変化が起きてくる。最初に落ちるのが背中の筋肉、使わない広背筋はすぐに落ちてしまう、背筋だけは鍛えておかないとそれこそ背中が痛くなる。ワイシャツの首回りとズボンのウエスト、ユルユルになるのは想像の範囲内だったが、靴もブカブカ、足まで小さくなるとは気付かなかった。靴下を履くのも楽だし、草むしりをしていても邪魔になる腹がない。足の爪も簡単に切れる。隙間の出来た足の指、水虫になんかなりそうもない。それでも「こんなにストイックに減量!肉も食べたいだろうし、お酒も飲みたいでしょう、たまにはパリパリと御新香も食べてみたいでしょう。ある程度歳を取ったら小太りがいい、数値が下がり過ぎ!貧血気味のデータですよ」と笑いながら先月の東京の先生の診察、良いこと尽くしのような気がしていた体重管理、数値が良くても健康にならなくては何にもならない、血管が弱りだす。来月は地元の先生の診察、「小太り」と「1600kcal」、どっちに振れてみようか迷い出している。(群馬建設新聞 5月14日)


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