□かくかく四角でゆるいぐんケンくん                                                   平成26年9月11日


 「政権交代以降ようやく前向きの風が吹きだした。将来に亘ってこの風を確実なものにする大事な年」と言い続けてきたが、最近の挨拶は「前向きと逆向きの風が同時に吹き荒れている」と変えだした。「前向きの風」とは、14年振りの事業量の増額確保と2度に亘る設計労務単価の引き上げのこと、「逆向きの風」は人材不足と資材高騰。規模の大小・地域によって企業間の格差はあるだろうが、人材不足によるマイナスの影響は深刻な状況になりつつある。新規入職者どころか流動化もなくなった。政策に翻弄され続け、業界も場当たり的な対応に迫られてきた結果が今の状況を生み出した。

 毎年行動指針を発表する。「人材確保・育成」と言えば、人との出会い、「4つ葉のクローバー」は人との出会いによる幸せ探しを連想させる。「女性・若者・IT・環境」の4つのコンテンツをクローバーに置き換え、今年度の協会の行動指針として総会の席上で発表した。目標は分かりやすく、読み取った人たちにとって具体的な行動に結びつくメッセージ性がなければならない。昨年度は「見通し・報い・やりがい」の「い」で韻を踏んだ「業界の3本の矢」だった。今年度は、どちらかと言えば受発注者間のやり取りで終わりがちな内向きの行動指針から抜け出した外側、国民全体を巻き込もうとするための取り組みである。じわじわと時間をかけながら活動すればかけた分だけ業界に対する理解度は深まる、「人材確保・育成」を中軸に据えた中長期的な戦略のスタートといえよう。

 「4つ葉のクローバー」のうちのひとつが「若者」、協会のマスコットキャラクター「ぐんケンくん」を作成した。「ぐんま」の「ぐん」と「ぐんぐん元気な建設業」、「建」と「犬」の両方にかけた「ぐんケンくん」と命名。イベントに「着ぐるみ」があるだけで雰囲気はぐっと柔らかくなる、業界に対する親近感も沸いてきそう、離れて行った人たちが振り向くきっかけになる、そんな期待を込めた「ぐんケンくん」。キャラクターが根付いていくかどうかは「デザインとコンセプト」如何にかかっている。デザインは女性の彫刻家、積み木のように角張っていてもどこかが「ゆる」のかわいらしい犬、コンセプトもすっきりしていていい。カクカク四角でゆるい「ぐんケンくん」が動き出した。

 「着ぐるみ」だけではすぐに忘れ去られてしまう。一緒に参加できる仕掛けがあれば長続きする。「およげたいやきくん」の作曲家、振り付けは元NHKの体操のお姉さんに頼み、ストレッチ体操「のびろぐんケンくん」をセットで考えた。これならばイベントの時にも使えそうだし、職場の体操にもなる。子供の時から曲を口ずさむようになれば建設業が身近になる。世界遺産の富岡市での「道路クリーン作戦」参加が本格的な初仕事、最近では幼稚園での夕涼み会、道路開通式にも参加した。「ゆるキャラグランプリ」にもエントリーしている。処遇改善・休日の確保・キャリアパスなど「人材確保・育成」に取り組む方法はあろうが、なかなか結果が出そうもない手間暇かかるこうした取り組みこそ建設業界にとって求められているのかもしれない。「前向き」と「逆向き」の嵐が渦巻く中、抜け出そうとする姿勢が問われ続けている。(全建ジャーナル 9月号)


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