□全国建設業協同組合連合会設立40周年                       平成27年6月16日


 5月19日、平成27年度全国建設業協同組合連合会(全建協連)の総会が終わった。今年は全建協連設立40周年にもあたる。自由民主党総務会長二階俊博国土強靭化調査会長などご来賓をお迎えし、「全建協連と基金とは双子で生まれてきた」と建設業振興基金の内田俊一理事長の締めくくりの挨拶で懇親会も無事終わった。共に同じ設立40周年にあたることを指しているのだが、「これは決してたまたまではない、40年前、日本は1973年の第4次中東戦争勃発を受け、原油価格の上昇がインフレに拍車をかける、いわゆる第1次石油ショックに直面していた。その結果、インフレ対策として需要抑制のための金融引き締めと投資抑制によって、建設業界は市場低迷と資金繰りの難しさに直面していた。その打開策として振興基金が建設業の債務保証をすることで金融支援をし、それをしっかりつないでいく組織として協同組合が出来、全建協連が立ち上がった」(要約)と成り立ち過程の解説を聞けば、双子の意味がよく分かる。

 当日、40周年事業のひとつとして、全建協連の「ロゴマーク」を発表した。昨年10月の長野・上田市の正副会長会議で持ち上がった事業の成果である。言われてみれば、個々の企業にはあっても、まわりの建設関連の団体にこれはという「ロゴマーク」は数少ない。今後長い間、襟章はもちろん、ホームページ、名刺、書類、封筒などに刷り込まれるから何といってもデザイン性、そして「相互扶助としての組合らしさ」を表現したメッセージ性がなければならない、この2点を押さえながら知り合いの東京青山のデザイナーと相談を始めた。広く会員からデザイン案を募る方法もあるだろうが、実績あるデザイナーならばいいデザインとなりそうだ。ブックデザイン、ポスター・カタログ、タイポグラフィーなど、国内外で受賞歴のあるデザイン事務所である。年末に依頼して年明け2月に7つの案が出来上がってきた。どれも捨てがたい案が並んだが、その中でも「JCCC」と横に並んで輪になって繋がって見える表現が事務局、正副会長会議の中でも評価が高く、最終決定案となった。

 昨年度の全建協連の動きをおさらいしてみよう。振興基金との共同研修事業も6年半ぶりに復活した。そして、既存の共同事業、金融・共同購買・福利厚生・総合補償等の展開に加え、7月に発表した2014年度の「活動指針」に基づいて事業を展開してきた。「全国各地での協同組合の特色ある事業の水平展開」と「人材確保育成に対しても組合ならではの関わり方」、この2点が新たに付け加えられた目標である。地方の板金専門工事業者が独自に立ち上げた、手づくりの職業訓練施設の研修見学会を開催することからスタートした。国土交通省・市・振興基金が参加した見学会の意義は大きい、各専門紙はもちろん一般紙にも広く取り上げられることとなった。福島・群馬・石川・対馬の4組合の事業紹介の冊子も作成することが出来た。とりわけリスク低減・適正利潤の確保に直接影響を与える「残土受入れ・整備事業」の紹介に対する反応は早い、広域にわたる組合間の意見交換会となって動きだした。

 平成27年度の総会も終わり、新年度が本格的にスタートした。40周年の節目に作成した「ロゴマーク・JCCC」、組合の原点にさかのぼれば、「人を大切にする建設業」に繋がっていく。コンセプトは、人の命を守り、処遇改善・働く環境を大切にし、社会資本整備を通じて人の生活を大切にする。総会の席上で襟章の授与式も行った。形式としてのかたちが重要だ。分かりやすく全建協連の事業を紹介したポスターも1万枚、組合所属員企業と行政・関連団体などへ配布した。傘下41組合事務局職員の10年ぶりの研修事業やホームページの更新も計画しながら、組合事業のブラッシュアップを探り続ける。昨年度の「活動指針」を掘り下げた2015年度の「活動指針」、今年は「仮設機材リース事業・補償コンサル事業・道路環境整備事業」などを紹介する。生産性向上のためのITを使った現場管理システム、資格取得のための研修会といった新たな取り組みも視野に入ってくる。スケールを活かした事業の展開と情報の発信、中でも手作りの専門工事業者の訓練施設の立ち上げへの関わり方が気になりだしている。「新しいロゴマーク」を襟につけて歩きだせば、事業も前向きに動き出すということだろう。(文中敬称略)


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